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静岡地方裁判所 昭和52年(わ)41号 判決 1978年8月01日

本籍

清水市辻三丁目五一二番地

住居

同市辻三丁目三番四号

会社役員

尾関義雄

大正一五年一月一九日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官徳永勝出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金三、〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、清水市辻三丁目三番四号において生コンクリート製造販売業等を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空仕入れを計上するなどの方法により所得の一部を秘匿したうえ、

第一  昭和四八年一月一日から同年一二月三一日までの所得金額が七六、九一一、五九五円であり、これに対する所得税額が四五、〇〇四、九〇〇円であるにもかかわらず、昭和四九年二月一八日清水市江尻東一丁目五番一号所在の所轄清水税務署において、同税務署長に対し、所得金額は一一、〇一四、〇九八円であり、これに対する所得税額は、三、四三〇、五〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告人の右正規の所得税額と右申告税額との差額四一、五七四、四〇〇円を免れ、

第二  昭和四九年一月一日から同年一二月三一日までの所得金額が一二六、八八二、〇九〇円であり、これに対する所得税額が八〇、七九七、五〇〇円であるにもかかわらず、昭和五〇年三月一〇日前記所轄税務署において、同税務署長に対し、所得金額は三〇、八九四、四三四円であり、これに対する所得税額は一三、二九三、六〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告人の右正規の所得税額と右申告税額との差額六七、五〇三、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の大蔵事務官に対する各供述調書(質問てん末書)

一、被告人外一名作成の各上申書

一、被告人作成の各上申書

一、被告人の検察官に対する各供述調書

一、証人堀川ふみ江、同天野徳治、同内田晴己及び同鶴見信夫の当公判廷における各供述

一、尾関武久、尾関昌弘及び増田武次の大蔵事務官に対する各供述調書(質問てん末書)

一、三菱鉱業セメント株式会社内田和夫作成の回答書

一、検察事務官作成の電話聴取書

一、大蔵事務官作成の調査報告書(五一、三、一六付)

一、株式会社駿河銀行清水袖師支店村松克二作成の証明書

一、同銀行清水支店大石愿作成の証明書

一、静清信用金庫矢倉支店前田彰作成の証明書

一、清水税務署長作成の証明書五通

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(不同意部分を除く)

一、押収してある売上帳六綴、仕入帳一綴、経費明細帳一綴、月別売上帳一綴、元帳二綴、伝票綴一綴、会計伝票一綴、決算書控等綴一綴、売上、仕入、受取手形、支払手形、売掛金、買掛金帳一綴(昭和五二年押第一二一号の一ないし一五)

(法令の適用)

被告人の判示所為は、いずれも所得税法二三八条一項、二項、一二〇条一項三号に該当するので、所定の懲役と罰金を併科することとし、以上は、刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については、同法四七条本文、一〇条により重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については、同法四八条第二項により各罪の罰金額を合算し、その刑期、金額の範囲内で、被告人を懲役一年六月及び罰金三、〇〇〇万円に処し、同法一八条により、右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予し、訴訟費用は、刑事訴訟法一八一条一項本文により、これを被告人に負担させることとする。

(裁判官 和田啓一)

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